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満月の夜に

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移転に際して、「私はなんでお店をやりたいのだろう?」
と、よく考えている。
それは「どうやって生きていきたいのだろう」
の問いにつながる。
先日、懇意にしてくださっている編集者の方からの
インタビューをうけ、それを考え、伝えることで、
なんだか見えてきたものがあった。
2004年頃から「Belle&Natary」という名前で、
ある物語を表現している。
二人の女の子がある一時期、湖を見渡せる山の中の一軒家で生活し、
そこで出会った人たちの中で起こったファンタジー。
その二人とは実際の私たちなのだけど、
あのとき感じたものを忘れないために一冊の本にしたことが、
全ての始まりだった。
それまで名前もしらなかった二人はそこで出会い、
ベル&ナタリーになった。
ベルとナタリーが暮らす山の家には、
見知らぬ動物たちが訪ねてくる。
潔癖性のアライグマの子どもや、酔っ払いパティシエのウサギさん。
詐欺師の水玉キツネや、複雑な三角関係のフクロウたち。
誰もが問題や欠点だらけ。
だけど、大きな自然に守られた森の出来事は、
間違いさえ、愛おしく包まれる。
お店を始めるとき、わたしは誰もが好きな時に、
好きなように遊びに来るおうちが欲しかった。
そして、そのおうちで何かを感じたり、欠点を愛しく思ったり、
誰かの輝く一点をみつけたり、
とにかくわたしが人を好きになりたかった
(=きらいなじぶんを愛したかったのかも)
わたしのお店は、これを売りたいという為のお店ではなく、
物語や純粋なものを感じる唯一無二の何かを、
人に手渡していくためのお店だと思っています。
その場所で得たなにかを忘れないためのアクセサリーや、お洋服。
いつも身につけて、自分らしくあるために。
一杯の珈琲のためのカップを、
誰かは持って帰るかもしれない。
そのカップは、どこにでもあるカップではなく、
あの日あの時のあの自分を、忘れないためのお守りのようなもの。
これが私のお店のコンセプトと、私の生きるコンセプト。
だといまは思っています。
結局、Belle&Nataryの世界に、わたしは生き続けていたいのです。
新しいお店にむけて、整理整頓。